オレンジ屋根の街並みに、色鮮やかな木組みの家など、ドイツといえば絵本に登場しそうな可愛い建物が特徴的です。
街は色彩豊かでカラフルなイメージのあるドイツですが、ある街だけスッカリ色を失っているという。
黒と白、グレーに包まれが織りなす世界。モノトーンに染まったその街の名はフロイデンブルク、色彩を持たない街とはいったい・・・。
勝手知ったるドイツの街並みは色鮮やか
鬱蒼と生い茂る深い緑に囲まれ、街は闇を払いのけるような輝くオレンジ、夢と魔法と剣と現実逃避が入り混じっていそうで、なんだかワクワクする。
そんな憧れの大地こそ誰もが知っているドイツの街並み、だと思っている私なのですが、いかがでしょうか。
高層ビルもない、近代ビル群も存在しない、自然とレンガと木組みでできたドイツの田舎街はまさにカラフルの一言、これぞまさしく我らがドイツです。
ところが、フロイデンベルクには色がないという。
白と黒が支配する街
Photo by Heribert Pohl
白い壁と黒い屋根から成る木組みの家が立ち並び、深い森の奥でひっそりと顔をのぞかせている街がフロイデンブルクです。
Photo by http://www.suedwestfalen.com/
モノクロの世界に包まれた街はドイツとしては珍しく、家が均一に並んでいるのも特徴的です。なんだか、一度迷い込んだら簡単には出てこられない迷路にも見えます。
しかし、色が失われ、カラフルさを無くしたモノトーンの街こそ、ドイツの絶景ではないかと囁かれているのだそう。
Photo by Thomas Depenbusch
白と黒が映えるだけに、街の中はどこか時が止まった世界のよう。
本当におとぎ話や童話なんかに出てきそうです。
「おお、勇者よ。この街は魔女によって色を奪われてしまった。なんとかしてくれ」
とかなんとか、ドラクエ的な展開や伝説も似合いそうです。
フロイデンブルクはドイツの秘境!?
絶景の街として注目されるようになったモノトーンの街フロイデンベルク、いったいドイツのどこにあるのか?
白と黒が織りなす不思議の街はノルトライン州の人里離れが地域にひっそりと佇んでいます。
フランクフルト中央駅から電車で1時間43分、Siegen駅からバスR38番に乗って25分ほどで到着します。
電車も通っていないドイツの秘境。
と、遠い・・・。
観光地としてはかなり行き辛く、旅の玄人向け、マニアック臭がぷんぷんです。
ドイツの知られざる絶景、そう言われるのもなんだか頷ける気がします。
火から生まれた街
Photo by PROHeribert Pohl
旧市街に集まり、白と黒が作る見事な伝統的木組みの家々はある事件を機に始まっています。
1666年に起こった大火災。
炎は無情にも街を焼きつくし、街は1棟を残して全焼してしまったという。
やがて年月を掛けて建て直された街は、火災前と同じ木組みに統一、現在まで修復が続けられるも、景観を損なわないようにと外観を変更することは禁じられているそう。
火災を乗り越え、景観を守るという街の努力、長い歴史と努力の賜物が今に受け継がれ、モノトーンの絶景フロイデンベルクを形作っています。
さいごに
世にも珍しいモノクロの街、フロイデンベルク。白と黒に覆われた街というのは世界的にも珍しいようで、この絶景を見るために多くの人がフロイデンベルクを訪れているそうです。
木組みの家といえば、ドイツには全長3000kmにわたってドイツ全土を縦断する「ドイツ木組みの家街道」と呼ばれるルートがあります。
ドイツの山間部、ハルツ地方のツェレをはじめ木組みの家を持つ街々をつなぐ街道として知られているのですが、絶景と称されるフロイデンベルクはこの木組みの家街道には名を連ねていないようです。なんとも不思議なものです。
これもフロイデンベルクが隠れた絶景、ドイツの秘境と呼ばれる所以かもしれません。
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